新月(完)

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  「月が無くなって早3日・・・」  新月という始まりの鐘が鳴らされて3日が経った。 悪夢の日々が始まって3日がすぎた。いい加減、血の匂いにはほとほと辟易する。 「はぁ・・・・私もぅ疲れたぁ」  ただ一つ与えられた武器である長刀を抱え込み大きく息を吐き出す。それと同時に全身から力を抜いて脱力する。 疲労の色がありありと出ているにも関わらず、私はまともに休むことが出来なかった。 始まりの鐘より40日後に鳴らされる終わりの鐘までは。 先の長い日数を頭ではじき出して、また盛大に息を吐いた。   「イヤだぁ・・・もう嫌。血って臭いし。吐き気がするぅ・・・あぁヤダヤだ」  自分の服をクンクン嗅いで思いっきり顔をしかめる。 そして上を向くと後ろの石壁にもたれ掛かった。   「・・・何人と戦ったっけ?私まだ誰も殺してないよね?あぁでもゾンビは殺した・・・」 「まだ生きてんのか」  街灯の下、漆黒のコートを着た黒髪ロングヘアーの青年が嫌味っぽくそう言った。 チラリと横目で青年を見ると、私はすぐ視線ん逸らした。 「敵を殺さずで最後まで生きられると思うなよ?お前じゃ無理だって。さっさと死んで楽になっちまえよ」 「うるさい」 「やっと反応したな。マジ死んだかと思ってたんだぜ」  思わず返してしまったことに舌打ちをする。 青年はクックックと肩を震わせこらえるように笑う。 「・・・アンタ私に早く死んでほしいんでしょ」 「まさか。俺はお前の“導く者”だぜ。そんなこと思うわけないだろ」 「どうだか。さっきは死ねって言ったくせに」 「だってお前やる気ないだろ。中途半端なまんま。そんなじゃ生きてたって苦痛でしかない」
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