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北の死神 南の悪魔(完)
冷気漂う深夜
彼は漆黒の柄に白銀の刃を付けた大振りの鎌を肩にかけ、眼下に広がる世界を見下ろした。
「魂がありすぎて目移りしちゃう?」
「黙れ」
彼の背後に突然現れた少年はニヤリとした笑みを浮かべ、彼の首に腕を回し肩に顎を乗せた。
「相変わらず真面目だねぇ君は。たまには休みをとりなよ」
「いつも怠惰してるお前は相変わらず不真面目だな悪魔よ。離れろ」
「ふふっ、死神ってば怖いよ。ねぇ今日は僕と「離れなければ狩るぞ」
少年の言葉を途中で遮って、彼はその大きな鎌を一振りした。
少年はスラリと柔らかい動きでその鎌を避けると、クスクス笑みをこぼしながらスゥッと消える。
彼はそれを確かめると眼下に目線を戻し、そして同じように姿を消した。
北の死神
南の悪魔
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