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「転勤?」
「らしいぜ。山谷先生」
クラスメイトの会話の声が聞こえてくる。俺はというと何食わぬ顔で数学の参考書を読んでいる。
放物線を眺めていたらいつの間にか視界がぼやけて線が二重三重に見えた。やっべ。睡眠足りなさすぎだろ自分。
昨日は深夜2時まで勉強していた。もう入試本番まで3ヶ月切っている。ぼやぼやしてられないのだ。
「なあ芦屋。山谷先生がさあ…」
「あ?え、うん…」
「転勤するって話知ってた」
「知らん」
ちなみに嘘である。本当は本人から聞いていた。でも友人はふーんと言うと別の話題に移ってしまった。
まあ、生徒にとっては教師の転勤なんて多少驚いたりするだろうがきっと大したことじゃないんだろうな。
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