これほどの、愛を。

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……………… 結局昨日はなんとか大竹を落ち着かせて泊まらせてやったんだけども。 (…うっわ、見るからに負のオーラ出まくってるよ…) 現場のベンチに腰掛けて 哀愁のかけらも漂わせていない背中を見つけて溜め息を一つ。 まぁ昨日の今日だし、仕方ないと言えば仕方ないけども。 とりあえず、ぽん、と肩を叩いて隣に座る事にした。 「竹ちゃん、オハヨ。」 「…あ、内村さん…おはようございます…」 …低血圧にもほどがあるでしょ、これ。 「ははっ、竹ちゃん顔酷いよ?あのあと大して寝てないでしょ。」 できるだけ明るく振る舞う事にする。 昨日のことはあまり触れられたくないだろうから。 …触れないって事はしない奴なのは知ってるんだけど。 「あの、昨日、俺…」 …ほら、ね。 無駄に律儀なこの男は、うやむやにすることをしない。 「なに?今更無しにしますーって?」 すこしおどけて、でも、できれば できれば大竹自身にこう言って欲しい、という気持ちは隠さないで言った。 俺が傷付かずにいられるように。 「あ、いや…それは…」 頼むから、いってくれ。 俺は傷付きたくないんだ、狡いから。 大抵こういう時の願いというのは叶わないものだと知りながら。 「…違います、昨日は、いきなりすみませんでした…でも、」 「俺が、選んだんです。…貴方を。」 俯いて、苦しそうにそう言うお前を 見たくなかっただなんてのは、結局叶わない願いであって。 「…うん、分かったよ、竹ちゃん。」 もうなにも聞きたくない、言いたくない。 …もう、こんなに苦しむお前らを見たくない。 これは俺のエゴなんだけども。 だから俺は、ある一点を見た後に いつも以上に猫背なお前の背中を抱いて、お前に顔を寄せた。 もう少し、もう少しだけ早く俺が大人になれていたら 誰もこんな思いをしないで済んだのかもしれない。 (責任は俺に有るんだ。)
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