これほどの、愛を。

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視線が合って、外れて、それで… 気が付いたら俺は全力疾走していた。 故障している膝なんておかまいなしに、全力だった。 …なにあれ なんで、なんで 俺はさっきいた場所から幾分離れた場所で座り込んでいた。 ずいぶん走ったから足が震えて呼吸が整わない、胸も、痛い。 …違う、違う、全部違う。 (…なんで、大竹と内村さんが…?) 今さっき見た光景が目に焼き付いて離れなくて。 心ばかりがズキズキと痛んで。 (あぁ、そっか、そういうことか…) 大竹は、内村さんを選んだんだ。 「…っく、お、たけ…」 理解した途端に涙が零れだす。 とめどなく流れて流れて。 歳も回りもなにもかも忘れて泣きじゃくった。 涙と呼吸がようやく落ち着いた頃には戻らなければならない時間まであと少しになっていて あぁ、仕事か。 俺、大丈夫なのかなぁ。 なんて、まるで俺じゃない誰かのように人事に考えてる自分が居て 未だ消えない胸の痛みを抱えながらなんだかやりきれない感覚に襲われた。 もうそろそろ立ち上がらねばと、目尻に残っていた俺の後悔とかそういうのをぐいっと拭きとったと同時に 背後からガサッと音が聞こえて 「…探したよ、三村。」 「…内村さん…」 いつも通りの柔らかい笑みを携えて 先程まで大竹と居たはずの内村さんがそこには居た。
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