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(…は…?)
一瞬頭が真っ白になるってきっとこういうことなんだろう。
ぽかん、と思考が止まって、また動き出す。
好き？内村さんが、俺を？
「…じゃぁ、」
「…じゃぁ、さっきのは、なんだったんですか！俺がっ、大竹のこと好きなの知ってて、俺に、あんなとこ見せつけといて、俺のことが、好きなんて、なんなんですか…！」
ぼろぼろと、さっき止まった筈の涙と一緒に、言葉が零れて。
「…うん、そうだろ？」
まるで全部分かってたかの様に微笑んだ内村さんの腕の中に溶けて混じって、消えた。
「…竹ちゃんも、泣いてたよ。今の、三村みたいに。
今の俺にはお前らになにが有ったのかなんて聞く権利はないけどさ…」
「ねぇ、こんなところで泣いてていいの？三村。」
ゆっくりと俺の手を取って、立ち上がる内村さんの顔に
さっきまでの笑みはかけらも無くて。
「ホントは分かってんでしょ、行っておいで？」
真剣な表示から、また。
いつもの柔らかい、ふわりとした俺たち好きな笑顔と一緒に
一筋の涙と、内村さんの優しすぎる嘘を、見た、気がした。
「…内村さん。」
「なぁに。」
まるでなんでもないみたいに
自分だけが傷ついてないみたいに笑ってくれた
内村さんに握られたままの手をぐっ、と引き寄せて。
「俺が情けないせいで…泣かせて、ごめんなさい。…いってきます。」
内村さんの涙を肩で受け取って走る。
今度はもう走る方向を間違えたりなんかしない、待ってて、大竹。
…ありがとう、内村さん。
「…涙脆くなって、俺も年かなぁ。」
一人残された内村は、ぼんやりとそう呟いて
同じ様に涙を零した二人を想って溜め息をついた。
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