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「内村さん!」
無駄に元気な声が聞こえて振り返れば
「お、三村。おはよう。」
三村がなんともいえない顔をして立っていた。
「…どしたの、顔が酷いよ?」
ちょいちょい、と隣にかけるように呼べば素直に横に並んだ。
「…ちょっと、相談したいことがあるんですけど…」
ぎゅうっと自分の右手を左手で握りしめて、
なんだか辛そうに喋り出した。
こんな三村を見るのは初めてで、なんだか妙な胸騒ぎがした。
「大竹、の、ことなんですけど…」
…あぁそうか、そういうことね。
胸騒ぎだけは止まないまま、俺は続きを促した。
「まぁ、気にしすぎちゃだめなんじゃない?…
この前も言ったけど、好きならそれでいいと思うよ?」
…………………
あーぁ。
視界の少し先の方で、三村と内村さんがなんか話してる。
…どうしてこんな気持ちになるんだろう。
好きになんてならなければよかったのかと
錯覚しそうになるほどに。
俺も話しがしたい、今はそれだけでもいい。
(…俺も後で内村さんとこ行こう…)
はぁ、と自分に聞こえる程度の溜め息をついて煙草に火を点けた。
すぅっと深くまで吸い込んだニコチンがなんとなく染みてきて、俺はどうしようもなく泣きたくなった。
これだけ思ってもかえってこないなんて
携帯のエラーメールみたいだ。送ってるのに、届かない。
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