目立ちたがり屋の怪盗

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 慌ただしい怒号が響く。  豪奢な屋敷の一室、無粋ともいえる黒服をまとった警官の群れが、ところ狭しと詰め込まれている。 「出入り口は全て塞いだか!窓際、物陰にも警戒を怠るな! 」  その中で唯一建物に似つかわしい装飾を付けた男が、血管を浮かび上がらせて怒鳴り声をあげる。  指示を飛ばすその指には、余すところなく金色の指輪が着けられていた。  じゃらじゃらと音を立てる悪趣味なネックレスにまでびっしりと指輪がくくられていて、ぶくぶく太ったブルドッグが首輪に繋がれている姿を連想させる。  更に、髪の毛がまるでタコの足のように八つほどの束に分かれて天井を向いており、それを束ねているものもまた、煌びやかに光る指輪なのであった。  正直、ちょっと指輪が可哀想とさえ言える光景だ。  その奇天烈な髪形は勿論だが、もう50過ぎのオヤジに華美な装飾というのも考えものだ。  どんな装飾品よりもよほど、たぷたぷとした腹周りの方が存在感を示している。  そんな変態の号令に、警官たちは言われた通りに動きはするが、やはり不愉快そうに眉を顰め合っていた。
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