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「「きゃーっ、大倉くんが来たー!!」」 校舎に入った途端 鳴り響く叫び声。 毎朝毎朝 見たくもない顔を見て 聞きたくない耳障りな声を聞く。 「みんなおはよ。毎朝ご苦労様やね」 俺は振り返ると そこら中に群がる女達に笑ってみせた。 「「きゃーっ」」 ホンマうるさい。 「…でもな…目障りやねんあんたら」 そう言って俺は 飲みかけのパックのカフェオレを逆さにして先頭に立っている女にかけてやった。 「なっ…何するんよっ…」 「そっちこそ毎朝毎朝迷惑やねんけど。どうしてくれるん」 「っ…」 すると女達はそそくさと帰って行った。 自分がしてることアカンって分かってんねやったらすんなよ。 いつから… こんな毎日を過ごすようになったんやろ。 ただ普通に学校に来てるだけで キャーキャーうるさい女子達。 いつの間にか    ゙軽くてたらしの大倉゙ なんてついていたキャッチフレーズ。 俺はたらしになった覚えもなければ 軽くなった覚えもない。 いや… それは今までの話かもしれへん。 今ははっきりそうでないとは言い切れへんけど… 戻れるなら純粋やったあの頃に戻りたい。 「おーい、たっちょーん!」 そんな友達の声で我に返り 僕は空になったカフェオレの箱を捨てて歩き出した。
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