三つ、見送る人の背を~

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明くる朝、犬神権十郎がえらく真剣な顔でやたろうざえもんと与助を起こしました。 「起きてください。二人とも、おーい」 与助が眠そうに顔を上げて言いました。 「うるさいぞ権十郎!噛みつくぞ!」 やたろうざえもんがおきました。 「何だ犬神、真面目な顔をして」 権十郎が頭を下げて頼みました。 「お願いします。お二人の旅に一緒に連れて行ってください、やたろうざえもんさんと旅をして強くなりたいのです」 やたろうざえもんは考えもせずに「いいよ」と言いました。 「本当ですか?」 「ああ、よし、じゃあそうと決まればさっそく出発だ」 「はい」 こうして、二人と一匹は遥か北にあるエゾへと歩き出しました。 その後、彼等がどうなったかはわかりません。 でもきっと、無事にエゾにたどり着くことができたはずです。 強くたくましい、やたろうざえもん達なら。 やたろうざえもん ~完~
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