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エゾの地を目指し、旅をしてきたやたろうざえもんとキツネの与助は、江戸に立ち寄りました。
やたろうざえもんが茶店でお茶を飲んでいると、その茶店の娘が話しかけてきました。
「この辺りを治めるお代官様はとても欲張りな方で、とても高い税を払えと言うのです。皆、とても困っています」
やたろうざえもんは気の毒になりました。
その店の娘はおキクといいました。
そこへ、一人のサムライがやってきました。
「おキクさん聞いたかい?お代官様にお願いに行った助三郎さん、牢屋に入れられたそうだよ」と言いました。
「それはどういうことだ?」とやたろうざえもんが聞きました。
「この近くに住む助三郎さんというひとが、お代官様のところへ今の税はとても高すぎて払って払っていけないから、下げてください」とお願いに行ったのですが、お代官様がじぶんに逆らったと言って、牢屋に入れてしまったのです」とそのサムライ、犬神権十郎は言いました。
やたろうざえもんは怒りました「なんて手前勝手な代官だ、許しちゃおけねぇ。犬神、屋敷まで案内しろ」
権十郎は止めました。
「やたろうざえもんさん、今行っても屋敷の見張りが厳しくてとても入れません。行くなら夜です」
「そうか、では夜が更けてから行くことにしよう」
そして、その夜。
代官の屋敷の近くに二人のサムライと一匹のキツネの姿がありました。
もちろん、やたろうざえもんと犬神権十郎と、キツネの与助です。
犬神権十郎が門の辺りを見て言いました「この屋敷の門は頑丈で、とても開けることはできません。どうします」と聞くと、やたろうざえもんは平気な顔をして言いました。「大丈夫だ。門がダメなら塀がある。それより、鐘は持ってきたか? 」
「はい 」と権十郎が頼りなく言いました。
「みんな、役割は覚えてきたか?」とやたろうざえもんが聞くと「我々は覚えましたけど、やたろうざえもんさんは何をするんですか?」と与助が聞きました。
やたろうざえもんは、堂々と伝えました。
「ここでみてる!」
「え!ということは我々二人で仕事にかかるんですかい」与助が聞くと、やたろうざえもんは「俺の言った通りにすれば大丈夫だ、それよりそろそろ取りかかれ」
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