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代官の屋敷から帰ってきたやたろうざえもん達は、犬神権十郎の家に泊まることになりました。
やたろうざえもんと、キツネの与助は3日後の夕方までぐっすりと眠り続けました。
先にゆっくりと首だけ起き上がり耳をピンと立て、ジーと何やら音を聞いています。
トトトト、チューチュー。
与助はカッと目を開き、物凄い勢いで土間のネズミのほうへと飛びかかりました。
ネズミは与助に気づき、大慌てで板の割れ間から床下へ逃げ込みました。
与助は勢い余って壁に大激突です。
「ギャウン!いってー!」
やたろうざえもんはゆっくりと起き上がり、与助のほうを見て「何だ与助、人が寝てるのにガタガタするな!たたっ切るぞ!!」と怒鳴りました。
すると、与助は壁のほうを向いて「ムグ~んん~ムゥ~」と唸っています。
「何だ?どうかしたのか?」やたろうざえもんは聞きました。
与助は唸っています。
やたろうざえもんは立ち上がり、与助のほうへ行きました。
「どうかしたのか?」と与助の顔を覗き込むと、与助の鼻は壁に突き刺さっていました。
やたろうざえもんは笑うのを堪えて「どれ、抜いてやる」と与助の体を掴み、を壁から抜いてやりました。
「何で壁なんかにめり込んだんだ?」やたろうざえもんが聞きました。
「腹が減って、ネズミを朝飯にしようと捕まえるのにしくじったんですよ」と与助は答えました。
と、そこに犬神権十郎が帰ってきました。
「大変だ~」
やたろうざえもんはうるさそうに「何だ、どうした?鬼でも現れたか?」
「そんなのんきなことを言ってる場合じゃないです。代官がお上に寄付しろと町人達から無理矢理お金をとって回っているんです」権十郎はだいぶ怒っています。
やたろうざえもんは俯いたままふるふると、怒りのあまりに体を震わせながらゆっくりと顔を上げました。顔は真っ赤になり、今にも火が着きそうです。「あの代官め~やたろうざえもんは声が震えています。
「もう許さん、犬神、与助、代官の屋敷に行くぞ!ただではすまさん」
二人と一匹は代官の屋敷に向かいました。
・
やたろうざえもん達は代官の屋敷の門の前に立っています。
辺りはすっかり暗くなっています。
「さぁ、行くぞ!」とやたろうざえもん、すると与助が「門はガッチリ閉まってますよ。どうします?」聞きました。
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