二つ、ふらちな悪行三昧

4/4
前へ
/11ページ
次へ
二人はしばらく黙っていましたが、やがて互いに刀を抜き、物凄い早さで切りかかりました。 ガチーン!という音をたて、やたろうざえもんが茶ざえもんの刀を叩き切ってしまいました。 「参った、俺の負けだ」 茶ざえもんは凄い汗をかいています。 「そんな、バカな」 代官は唖然としています。 「おとなしくお縄について反省するか? 」 やたろうざえもんは優しく聞きました。 「はい」 代官は弱々しく返事をしました。 「そうか、じゃあ一緒に奉行所に行こう。でもその前に、少々お仕置きをしなければな。…与助!」 「へい!」 与助は代官の後ろに回り込みました。 「代官、目を閉じろ」 代官が目を閉じると、与助が代官のおしりにがぶりと噛みつきました。 「フンギャー!!」 代官は目を見開いて、凄い叫び声をあげました。 「よし、じゃあ犬神、代官を奉行所に連れて行ってやれ。与助はそろそろ許してやれ」 与助は代官のおしりに噛みついたまま、目だけやたろうざえもんのほうを見て「抜けまふぇん」 「ん?何?」 「はがぬけまぇん」 与助は足をバタつかせて、ようやく離れることができました。 「顎が痛い…」 与助は口をパクパクして、文句を言っています。 「行くぞ代官」権十郎が代官の腕を引っ張っります。 「そんなに早く行かんでくれ、いたた、しりが痛い」 権十郎達は行ってしまいました。 「よし与助、我々は権十郎の家で寝るとするか」 「へい、かってに使っときましょう」 「腹も減ったな」 一人と一匹は、闇の中へ消えて行きました。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加