3人が本棚に入れています
本棚に追加
二人はしばらく黙っていましたが、やがて互いに刀を抜き、物凄い早さで切りかかりました。
ガチーン!という音をたて、やたろうざえもんが茶ざえもんの刀を叩き切ってしまいました。
「参った、俺の負けだ」
茶ざえもんは凄い汗をかいています。
「そんな、バカな」
代官は唖然としています。
「おとなしくお縄について反省するか? 」
やたろうざえもんは優しく聞きました。
「はい」
代官は弱々しく返事をしました。
「そうか、じゃあ一緒に奉行所に行こう。でもその前に、少々お仕置きをしなければな。…与助!」
「へい!」
与助は代官の後ろに回り込みました。
「代官、目を閉じろ」
代官が目を閉じると、与助が代官のおしりにがぶりと噛みつきました。
「フンギャー!!」
代官は目を見開いて、凄い叫び声をあげました。
「よし、じゃあ犬神、代官を奉行所に連れて行ってやれ。与助はそろそろ許してやれ」
与助は代官のおしりに噛みついたまま、目だけやたろうざえもんのほうを見て「抜けまふぇん」
「ん?何?」
「はがぬけまぇん」
与助は足をバタつかせて、ようやく離れることができました。
「顎が痛い…」
与助は口をパクパクして、文句を言っています。
「行くぞ代官」権十郎が代官の腕を引っ張っります。
「そんなに早く行かんでくれ、いたた、しりが痛い」
権十郎達は行ってしまいました。
「よし与助、我々は権十郎の家で寝るとするか」
「へい、かってに使っときましょう」
「腹も減ったな」
一人と一匹は、闇の中へ消えて行きました。
最初のコメントを投稿しよう!