犬と猫と

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「寝たりねー」 「帰ってから寝ろ」 「帰んの面倒くせー」 「言ってろ」 あで、冷たい。 そんなのとうの昔に知ってたことだろう。 「…汗、かいてる」 膨れっ面の草太に居心地が悪くなって、ごまかすように額に張りついた髪をかきあげてやると、草太は目を細めて笑った。 「っ」 どく、と心臓が跳ねる。 くそ、不意打ちって、ありか。 とっさに顔を背けて咳払いをした俺が、何を隠そうとしたのか、お前は知らない。 (てか、狙ってんのか、こいつ) ふと、なんとなしに視線は草太の襟元でとまった。 開いたシャツの隙間から覗く、病的なほど白い肌。綺麗に浮いた鎖骨は、思春期の男子の性をくすぐるには (十分すぎ) 「っお、まえさあ、シャツのボタンとめろよ」 毎日毎日。 いい加減、目のやり場に困るんだよ。 「やだよ。あちーもん」 「もんとかいうな。可愛くねーよ」 「うーせー。あでうちの兄ちゃんみたいな。うぜぇ」 「にぃ、」 ちゃんとはなんだ。 冗談じゃない。 俺のお前に対する感情が兄みたいなもんだったら俺だってこんなに苦労してないさ。 (そうじゃないから視線の置き場に困ってるんだろう) なんでお前はそれに気づかない。 お前が鈍いからか。 俺が態度に出さないからか。 いや、それは違う。 俺は態度には出やすいはずだ。 草太相手には特に。 だって俺は (草太の犬だ)
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