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1 僕の歩く道
僕は何の為に生きているのかわからない。
ただ過ぎるように過ぎてゆく毎日、僕は僕以外の個体に迷惑を掛けているだけだ。
僕自身も何がしたいのか、何が出来るのかもわからなかった(もしかすると、考える事すらしなかったのかもしれない)
雨の日には、晴れた日では見る事が出来ない景色を幾つか見れた。
傘を差して歩く人、傘を忘れたのか足早に歩く人、自転車に乗って一生懸命に自転車を走らせる人、でも僕はどれにも属さなかった、いや属したくなかったのかもしれない。
僕は水溜まりを踏み付けて、道の真ん中を歩くのが好きだった。
水溜まりを踏み付け、濡れた靴で踏む地面の感触が何とも言えず好きだった。
何より道の真ん中を歩くと自分が世界の王になれたかのような気分に浸れるのが良かった。
雨の日の晴れない気分を誰か別の、他の何かに責任を押し付ける事によって僕は気持ちが楽になった。
それでも家が近づくによって僕は何も悪い事はしていないのに犯罪者になったかのように気分が落ちた。
家に着いても僕は何もやる事が出来なかった、やろうともしなかった。
溜まった洗濯物、山積みになった雑誌、そしてタバコの匂いが染み付いた部屋、その部屋の中で僕はまたタバコに火をつけた。
言葉として成立しなかった煙りを僕は吐き出した。
嘘の塊を僕の吐いた、その塊は空を漂い、そして消えた。
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