いち

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風に吹かれ 私の譜面台は倒れ、 譜面が飛ばされてしまった 「!!…取りに行かなきゃ。」 そう言えば もうすぐ合奏だ… 走んなきゃ。 その譜面は… 開け放した 窓から飛び出し プールの水面に 落ちた。 「嘘でしょ…… 本当についてない。」 独り言を漏らした その時。 「これ、お前の?」 はっとして よくよくプールをみると ひとりの男子生徒が プールの中から 譜面をこちらに掲げていた 「!!!!…………ぅ…ん。」 「え??聞こえないよ―。」 はるに……… 似てる…!? 「……はる?」 「え!!!?」 「それわたしの!!!!!」 「了解―」 彼は プールサイドへと 泳ぎ始めた。 「はるだ……」 はるだった あのフォーム 手のしなり方も 息継ぎの角度も 最後に見せた 微笑む時にできたえくぼの位置も。 全部。 大好きなはると。 「はいよ。」
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