第六話 密室

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僕は今日、死ぬかもしれない。 なるほど、これが若くして死期を悟る気持ち、なのか。 幼なじみの妹に昨日、悪さしたので、 幼なじみの姉に、惨殺される・・・! 余りの恐怖に、全身の血がサーっとひいていくのを感じる。 客観的にみたら、パジャマ姿で体育座りしているだけの由宇が、 僕には、『ラスボスが圧倒的な邪悪のオーラを放ちつつ、悠然と玉座に鎮座している姿』に見える。 その彼女の怒りは、桁違いの暴力的なむき出しの感情に、周囲の空気は今にも張り裂けそうである。 おそらく、指先ひとつで僕ごとき村人Aの命を根こそぎ刈り取るのには十分過ぎる程だろう。 もはや、僕と同じ『人間』という種族だとは到底思えない。 ここに、『魔王』がいる! ・・・これは死ぬだろうな、数秒で。
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