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彼が到着する、新幹線の駅に着くと、あきらかにファンであろう女性の集団がいた。
アタシはとりあえず隅で見守っていた。
彼に渡したい手紙を握りしめた。
便箋にアタシが愛用している香水をつけて。
彼が乗っている新幹線を待っていると、一人の女性が声をかけてきた。
「もしかしてファンの人かな?」
アタシはただ、頷くしかなかった。
話を聞くと彼女は公式ファンクラブの運営している女性だった。
「アタシはユキノ。あなたは?」
と聞かれ、
「トモです」
と答えた。
ユキノさんはアタシを見て笑顔になった。
「この前ラジオで読まれていた子ね。彼に手紙を渡したいの?
彼と話が出来るように近くに行こ」
と言われ、アタシは腕を捕まれ駅のホームギリギリまで連れていかれた。
渡せると思って書いた訳じゃない。
渡せたら嬉しいくらいの気持ち。
まさか、直接渡せるかもなんて…。
ドキドキしながら、新幹線が来るのを待っていた。
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