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男はひたすら走りつづけていた。
何かに追われている。だが…それが何かは男には分からない。分かるのはとてつもない大きな力と言うことだけ…。
は…ぁはぁ…はっ…
男の吐く息は不規則で、走る足も地面を引きずっていた。
限界だ。
そう思った瞬間、男は足を止めて後ろを振り返る。
追って来た相手を見るために…
トッ…トッ…ト…
相手の軽い足音が男の前で止まった。
全身を黒い布で覆い、顔も見えない相手。
「お前の…狙いは…なんだ?」
男が尋ねた。男が狙われている理由は一つしかなく、それを知っていながら男は相手に聞いたのだ。
「………」
だが相手は答えず、ゆっくりと男に歩み寄ると黒い布を剥がす。
「…なっ…」
そこに居たのは多少歳を重ねているように見えるが、男と同じ顔の男だった。
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