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街の中心部にはその街の象徴とも言える100階建ての大きなビルがあった。 街の住人はそこを「神の御使いの集う場所」――オリンポスと呼んだ。 ビルは会社であり、一つの都市でもあった。 生まれながらにして選ばれた者達はこのビルへ集められ生活を強いられる。 かといって不自由な事は何もない。ビルの中だけで生活が成り立ってしまうのだから。 月に一度、ビルの外へ出ることが許されているのに、出ていく者はあまりいないのは外の世界が危険だと認識しているからだろう。 国すら認めているこのビルの実態 それは過去へのタイムスリップが可能な装置があること。 しかし、装置があるだけでは意味がない。何に使うかが重要になってくるわけである。 ―人々の中には天才と呼ばれる者達がいた。 彼等はありとあらゆる分野で人々を魅了し、歴史を紡いできた。 そう、つまりオリンポスではその天才達に出来る限りの力を発揮してもらおうと過去へ移動するのだ。 そこで多少彼等の人生を脚色し、未来へ繋ぐ… そしてまた、一人のさ迷える男がオリンポスへと足を運んでやってきた…
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