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エレベーターが3階を示して止まる頃、サムの額は汗だらけで…
手にしたハンカチもすでに湿っていた。
緊張が走る。
普通なら数秒でたどり着く社長室も、足が動かなければ何分もかかってしまい、やっと辿り着いたと思えば休む間もなく扉が勝手に開いてしまったではないか。
サムの目先に見えるのは、社長らしき男の後ろ姿だけ…
「あ…あの!わたくし…!」
「言わなくて結構。話は聞いているからね。まあ、座りたまえ」
「…は…はい」
社長の指示に従って近くにあるソファーに腰掛ける。
それはゆっくりと沈んで心地好い…。
と、そんなところに感心している場合ではないのだ。
サムにとってこの案件は必ず成功させなくてはいけないものなのだから…
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