第三章

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「ドクターってのは誰のことだ……!」 「私はドクターとしか呼んでないんでな、ドクターはドクターとしか言えないな」 オルダの微かな隙を的確に付きながら目の前の敵を追い詰めていく。 「ぐっ……!」 「この程度か、ドクターが言っていた程じゃないな」 (どうなってるんだ、なんでお前がここにいるんだ) オルダの頭は疑問で埋め尽くされていた。その疑問がその剣を鈍らせている。 「つまらん」 「がっ……!」 オルダの一瞬の隙を付き、剣で右肩を切る。オルダは反射的にバリアを張るが、それも一瞬で破壊され、右肩に剣が迫る。 「……ふん、防御だけは上手いようだな」 しかし、オルダはぎりぎりで剣をロストナンバーの剣に合わせ、肩の薄皮を切られたところで防御に成功する。 ロストナンバーの剣を上に弾き、バックステップでその場を離れ、体勢を整える。しかし、オルダの呼吸は乱れたまま、整える事が出来ない。 「ん?もう撤収か」 隠し玉を出すしかないのか、と顔を歪めているオルダを背に、何事も無かったかように歩を進めるロストナンバー。  
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