664人が本棚に入れています
本棚に追加
誰もいない、と錯覚させるぐらい静かな廊下に足音が響く。
(何も得られなかったのは確かだが、気になることはあった)
あの青年、オルダ・ギブソンと打ち合ったとき、言いようのない懐かしさを感じた。
それは自身の記憶を引き出すことはなかったが、この人物がドクターの言った通り、記憶の手掛かりになり得る人物という確証に足るものとなった。
(またあいつに会えば何か変わるかもしれないな)
無愛想な彼らしくない微笑みを浮かべながら部屋に戻っていく。
その笑みが、記憶の手掛かりを得た喜びからなのか、はたまたそれ以外なのか、知っている者は彼自身だけだった。
最初のコメントを投稿しよう!