干渉(2)

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誰もいない、と錯覚させるぐらい静かな廊下に足音が響く。 (何も得られなかったのは確かだが、気になることはあった) あの青年、オルダ・ギブソンと打ち合ったとき、言いようのない懐かしさを感じた。 それは自身の記憶を引き出すことはなかったが、この人物がドクターの言った通り、記憶の手掛かりになり得る人物という確証に足るものとなった。 (またあいつに会えば何か変わるかもしれないな) 無愛想な彼らしくない微笑みを浮かべながら部屋に戻っていく。 その笑みが、記憶の手掛かりを得た喜びからなのか、はたまたそれ以外なのか、知っている者は彼自身だけだった。  
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