第四章

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任務から帰還したオルダは、はやてに軽い報告を済ませた後、その足で資料室に向かっていた。 しかしその足取りは重い。その原因はこれから調べに行く事にあった。 その調べる事とは勿論、十二年前のあの事件の事だ。 この事件はオルダがずっと避けていた事だった。この事件の真相に近づく度に、身体のどこかが持っていかれるような気すらしてくる中で、それでも前に進むためには近づかなければいけない、そう決心したのだ。 そう決心しても、まるで足に足枷が付いていると錯覚させるぐらい、一歩一歩が重い。 何処までも続くかのように思われた道程も、気がつけば終わりを迎えていた。資料室のドアの前に到着していたのである。 「…………」 オルダは静かに資料室に入り、中を見渡す。そこには前に一度来た時と同じで誰もいなかった。 そこでオルダは一度深呼吸をする。 体内に溜まっていた二酸化炭素を吐き出し、気合いを入れ直すと、モニターを出現させて調べ物を開始した。  
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