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バシッ
「いい加減にしなさい絵奈ッ!!」
気がつくと絵奈は庭にいる小さい頃の絵奈と母の近くに立っていた。
小さな頃の絵奈が赤くなった頬を押さえている。
「……だって、私の鍵盤ハーモニカだけ音が出なくて…もうバカにされるのヤなんだもん…」
「…うちが今どんなに大変か知っててそういうことをねだるワケ?」
ミーンミーン
どこかで蝉が鳴いている。
「二年前パパが死んでからの借金ずっと利息増え続けてるんだよ!?」
「そんなの絵奈知らないっ!!ママなんてパパが死んでからいっつも怒鳴ってばっかりで、絵奈が何言ってもダメしか言わなくて!!!ママなんか――」
バシッ!!
逆の頬に母の平手が飛んだ。
わぁぁぁぁぁん
――パパが死んでから私のお母さんはずっとこんな感じだった――
ママ……新しい服欲しいんだけど……
冗談言わないで!!
お母さん…体育祭来れる…?
知ってるでしょ、仕事だから行けないの
――え?高校諦めろ…?
だって…この間学校の三者面談で池田高校推薦確実って言われたんだよ…?公立だしお金もそんなには――
絵奈には今度の春中学卒業したら働きに出て欲しいの
そんな…そんなの死んだパパだって絶対許さないよ!!私だってせめて高校くらいは――――
絵奈!!!
…………
二度言わせないで!
――借金に追われた母には私への愛などもう欠片もなかった
――けど、それでも私は今信じたい
今の私にはそれが必要だから…
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