エピソード②

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キィ… 小さい頃の絵奈が夜の公園でブランコに乗っている。 …………そろそろ… 「絵奈!!こんな所に居たの!?すぐ支度して!!」 慌てた様子の母が駆けつけてきた。 「マ、ママ急にどうしたの!?」 「今すぐにアパートを出るの!!すぐに最低限の荷物だけまとめて!!」 絵奈は夜逃げをする二人を家の窓から見た。 「さ、もういいわね!早く行くわよ絵奈」 「え…えっと」 小さい頃の絵奈があたりをキョロキョロとする。 ハッ 「ママ待って!!「宝箱」も持ってく!!パパとママにもらった大事なもの――」 「あんな大きい物は駄目!!!」 小さい絵奈が宝箱を抱え込む。 「やだあ!!これ持って行けないなら絵奈、ココ動かない!!」 ………… 「あ、そう…じゃもうずっとそこに居なさい。ママもう知らない」 母が大きなバックを手に取り外に向かった。 「え…、…………ママ…?」 トクン… トクン… 「……マ…」 トクン…トクン… そう…この時は諦めるしかなかった。 かつて私の家族にあったもの。 それを私は今 ドクン… どうしても見たい ドクン…ドクン… 絵奈は家に入ると宝箱の前に座った。 小さなおもちゃのカギを取り出す。 チャリ… ドクン…ドクン… ? え?カギがもう開いてる…? パカ… 絵奈は宝箱をゆっくりと開けた。
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