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宝箱の中には一通の封筒が入っていた。
18歳の絵奈へ
――絵奈、高校卒業おめでとう!
18歳の絵奈はどんな美人になっているかな?
パパとママはとても楽しみだよ
さて、宝箱の中身はもう見た?
そう、絵奈名義の電子預金通帳です
絵奈は空っぽの宝箱を見た。
電波で取引を自動記帳出来る最新式でね
パパとママはこの宝箱を買ってから毎月5000円ずつ口座に預金し続けてきたんだ
無闇に今おこずかいを上げるよりこうした方が将来、絵奈の為になると思って
絵奈は立ち上がると外へ駆け出した。
もし絵奈が大学に行くなら学費にしてもいいし
社会に出るならスーツもいいね
それなりの額貯まってる筈だから何にでも使えると思います
どうぞこれからに役立てて下さい
前を母と小さな絵奈が荷物を抱えて歩いている。
「お母さん!!」
母が気づいて振り返る。
「…宝箱の中身…盗ったの…お母さんでしょ…」
「は…?誰?アナタ――」
「返して…!!」
絵奈は母の肩を掴んで揺さぶった。
「ちょっ…!?何するの!?」
「返してよ!!ねえ!!私の為のモノなんでしょ!?」
小さな絵奈がワケもわからずオロオロと見ている。
「勝手に使わないでよ!!苦しいからって…………!!苦しいからって…愛情切り刻んで…使っちゃわないでよ…」
母が勢いに負けて何も言えずに絵奈を見た。
絵奈が大粒の涙をポロポロと流しながら母へ訴えかける。
「ねえ…お母さん!!私も…いつかお母さんになるんだよ…!?私に…ちゃんと子供の愛し方教えてよ…ッ!!」
18歳の絵奈を誰より思ってます
パパとママより
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