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それから15年後
「チラシどうぞー」
立派なオジサンになった俺は、町外れの怪しい研究所の前でこんなチラシを受け取った。
さあ!アナタも過去への扉を開こう!
THE タイムトラベルサービス
タイムパラドックスの心配ゼロ!!
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相澤澄
彼女のことを考えない日は、この15年間一度としてなかった。
「いらっしゃい。SAKU LOVE ON 研究所へようこそ!私は佐倉 愛。ラブって呼んでね」
怪しげな研究所のベッドに横にされた俺は、小さいパンダみたいなロボットにあちこち弄られていた。
「桐谷大樹さん…で間違いないですね?」
「はい…てかなんだ。このミニロボットは」
「――正直ホントに来る実験台…いえお方がいるとは驚きましたよ」
「エ゛ッ!?」
慌てて俺はラブに聞き返した。
「てことは俺が初のタイムトラベラー?」
「まあ私や動物では散々実験済みですけどね」
はぁ
「ま何でもいいや。別にここで死んでも悔いはない。過去から帰れなくなったって構わん」
「…………大丈夫ですよ桐谷さん。実はこのマシン本当にタイムワープする訳ではないんです」
「え?」
「この20年間我が研究所で開発したこの「チェリー」を駆使してスキャンした物理・物質・霊質構造を桐谷さんの脳内に投影し特定の時空を再現する仕組みなんです。だからあなたが向かった過去で何をしてもタイムパラドックス――即ち現在に影響を及ぼす事はありません」
「…そうだな。確かに書いてあった「夢」みたいなもんか……」
「「夢」――そうですね、でも桐谷さん」
ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛
低い機械音が振動とともに体に響いてくる。
「ん?」
「人は「夢」すら生きる糧に出来るもの私はそう考えます」
ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛
「どうかあなたにとって実りのある旅を」
ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛ウ゛
ま、期待しないでおこう
ウ゛ウ゛オオオオオオ
だんだんと目の前が真っ白になり、眩しい光でいっぱいになる。
キィィィィィィィン…………
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