エピソード①

3/9
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
あれ?ここは駅前じゃないか! 「――――…ここは…15年前の高校の駅前!?」 俺は駅前の見覚えのある横断歩道の前に立っていた。 ドクン 2007年…2月 過去だ…紛れもなく 15年前に帰って来た!! ドクン ドクン 15年前に―― サラッ 俺の体が一瞬硬直した。 隣を見慣れた制服姿が通り過ぎたのだ。 ……!!!あ―― 「き…君っ!!!」 「?」 ――その娘は確かに15年前に恋した16歳の相澤澄だった。 俺たちは近くの喫茶店に入った。 「オヤジ好き」を公言してただけあって彼女と親しくなるのは呆気にとられる程ワケなかった。 「へえー!31歳で会社の課長さんなんて素敵ー!!」 「そう?にしても君みたいな若い娘と話すのホント久々だなあ」 「えーウッソだあ話し慣れしすぎなんだけど」 彼女の明るい笑顔に見とれた。 …そりゃ話し慣れもしてるさ。 …俺は23歳の時にコイツを口説き落として ――あんたのしつこさには負けたわ 依頼今の歳になるまで8年間ずっとプロポーズを繰り返してきた―― 24歳―― 「澄!俺と結婚してくれないか?」 「イヤ」 26歳―― 「澄!俺と結婚してくれ」 「ヤダ」 28歳―― 「澄!俺と結婚――」 「ヤダ」 30歳―― 「澄…俺と…」 「……アンタもホント一途ね」 「ま、そんなトコはキライじゃないんだけど――くすっ」 ♪ ピッ 携帯音が鳴り、相澤澄は携帯に出た。 「はい相澤です。え?ええそうですけど。え…!?」 ガタッ いきなり相澤澄が椅子を倒して立ち上がった。 「実家で父の容体が!!?」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!