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相澤澄が慣れた感じでスッとベットに入ってきた。
「しかしお前も大胆だな…自分の家にオッサン連れ込んでエンコーとはね…」
「え?…何言ってんのオジサン。誰がここ自分ちって言った?」
俺は一瞬、相澤澄が何を言ってるのかわからず聞き返してしまった。
「…………え?」
「馬鹿ねーオジサン自分の家で援交する娘なんかいるワケないでしょ!ここはね「谷竜次」っていうヤクザやってるあたしのカレシんち。だからこの家の事喋ると谷の関係者出てきて面倒な事になるからオジサン黙っててよっ!!」
は…?
過去の相澤澄が頭の中でリフレインする。
――「谷竜次」って澄、親父さんと名字違うのか…?
――桐谷くんってマジメよねー。けどアンタの一途さキライじゃないよ。
…この家が実家じゃない…?
――今週末、旅行行かない?
ごめん!お父さんの見舞いに実家行かなきゃいけなくて
ごめん、また実家に……
澄だってこんな俺と何年も付き合ってんだから、かなり一途だと思うぜ
そうだよ。今まで知らなかった?
無意識に俺はボードの上にあったハサミにゆっくりと手を伸ばしていた。
「そのヤクザの彼氏と俺が付き合い出した後も……」
涙がポタポタとベットに落ちていく。
「ずっと…ずっと二股しながら……」
ハサミを持った手がカタカタと震える。
「こうしてたまに…売春してたのか…?」
「――――……は?」
もう……
何も……
勢いよくハサミを心臓目掛けて突き刺す。
信じられない……。
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