冬の足音

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「以前から愚痴ってはいた。 いつまで縛られるのかとか、こんな毎日つまらないとか…」 「それ…」 俺が思っていた事と同じだ。 閉塞的な毎日、犬のように従順でいなければならない息苦しい生活。 鎖で繋がれた檻の中で女王に従い、餌を貢ぐ毎日。 まるで全てのアリがクローンのようだった。同じ行動、似た容姿、話すことなどあるはずもない。 「これは忠告だ。死ぬ前に女王へ屈しろ、いいな?」 「嫌。 俺その人の言いたい事分かる気がする。 だって俺、レギーに裏切られたとしてもあんな毎日に戻りたいなんて思わないもの」 戻るくらいならここで朽ち果てた方が幾分かマシだ。 「…そうか。馬鹿だなお前」 「知ってる。」 キリギリスに惚れた時点で自分でも自覚はしていた。 つくづく馬鹿だなって。 レギーに会うのを楽しみにしてる自分に何度そう思ったか。 .
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