震える灯

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「鬼の様じゃろ。 餌も話も何も…。思い人が朽ちてからあやつは囚人に一切関わらなくなった」 「餌をやることはいけないんでしょう?」 それを聞いてじい様は皺くちゃの顔で不器用に笑みを作ると、自分の手をゆっくりと撫でた。 「誰も望んでおらんのだよ。 ここでアリ達が朽ちる事を、裏切り者として死に行くのを…。 ここにおる皆…望んでなんかおらん」 「………じい様…」 「……じい様変わってくれ」 さっき変わったばかりの衛兵がいつの間にやら、地下牢に戻って来ていた。 「………余計な事は考えるでないぞ」 じい様は衛兵の耳元で何かを呟くとよたよたしながら階段を上っていった。 何を考えているのか。押し黙ったまま衛兵はぴくりともしない。 「衛兵…?」 「アマネ」 「…え?」 初めて名前を呼ばれた。 振り返った衛兵は憑き物が取れたかのように清々しい顔で笑っている。 そして、鍵を取るとそっと牢屋の扉を開いた。 .
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