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「キリギリスが来た。お前と話がしたいと。
出ろ。」
「でも、何で?!」
「もう見たくないんだ。
目の前で命が消える瞬間を
これ持ってけ」
衛兵は厚いコートとポットに入ったスープを手渡しまた微笑んだ。
その笑顔は何か重大な決意を固め、すっきりしたという風にも見えた。
「行け、今ならまだ間に合う。
食料庫はこの上だ。寄って少し取るといい」
衛兵は俺の背を押すと、自分はいつもの定位置に座った。
何かが引っ掛かる。
言いようのない不安が押し寄せ、俺は衛兵に礼を言うと一目散に走り出した。
その時。
――――――パンッ!!!!!!
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