入場

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 北村 芽留はすぐにスピーカーに向かって呼び掛けた。 「すみませーんっ自己紹介終わりましたけどーっ!?」 もうすっかりこの団体の主導権は北村 芽留が握っていた。…まぁここにいるメンバーの性格を考えてみれば、リーダーには彼女が最も最適なのだが。 『了解いたしました。それでは、ご入場下さい』 ガコン、と一つ鈍い音の後に、目の前の大きな門が開き出した。 「いくよ、深依」 「う、うんっ」 「……ちっ」 「よ、よし…」 何人が笑顔でここに戻ってこられるのだろう。 いや 俺は笑顔でここに戻ってこられるのだろうか。 たった一人の大切な恋人を連れて… 「…行かないですか?」 ふと気付けば、真緒ちゃんが俺の中指を不安そうに引っ張っていた。 他のメンバーも門の内側で、俺達を待っている。 「…あぁ。行こう」 希望の糸が張り巡らされた、蜘蛛の巣へと――…
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