三人

2/27
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/88ページ
「そんなとんでもありません!マリア嬢に見せられるような物ではありませんよ!」 先ほどまで鼻の下をこれでもかというほど垂れ下げ、激しく崩れていた男の表情が急に元の姿を取り戻し、慌てふためきながらその首を激しく横に振った。 この男、はたから見ればいい男に分類されるであろう顔立ちをしているのであるが、全くもって先ほどの破顔に続きこの慌てようでは、千年の恋も冷めようと言うものである。 しかし、そんな男の態度にもかかわらず、紫のドレスに身を包んだ女性「マリア」は構わずに言葉を続けた。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!