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4)SIDE "LAVENDER":真意~Why did she shoot him?~
「……どうやら、じいさんはお前の里親探し、失敗したみたいだな」
そう言って、彼は低く腰を落とすと、ファイティングポーズをとった。
熱した鉄のように鮮やかな朱色の髪と同じ色の瞳のその人は、顔を険しくしかめ、私を睨んでくる。
「その、ねじくれた根性、もう一度叩き直してやる」
告げられた台詞に、私は手にした拳銃をさらに前へとつきだした。
「こないで、って言ってるでしょ? いくら体力馬鹿のあなただって拳銃のスピードに勝てるわけがないわ」
「どうかな?」
言って、彼は不敵に笑う。
どこまでも自分の肉体に自信を持っている彼は、床を蹴った。
――きっと真っ直ぐすぎる彼は自分の肉体だけではなく、愚かにも私まで信じていたのね。
私が絶対に彼を撃たないと、きっと彼は信じていたの。
「撃てるもんなら、撃って見ろ!」
でも、私は彼に向けた銃の引き金を、絞り込むように――引いた。
鈍い音ともに、ゆっくりと彼の身体は床に沈んだ。
「ごめんなさいね」
倒れた彼の元に歩み寄ってそう囁くと、私の銃はもう一度火を噴いた。
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