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「ふ……ふぅぅううぁぁああうあぅぁあっ」  不意に生まれた欠伸を噛み殺すのに苦戦しながら、フリースのポケットに突っ込んであったケータイを取り出す。  今は真夜中。バックライトに浮かび上がるデジタル表示はちょうど2時に変わった。  胸いっぱいに冷たい空気を吸い込む。  空気がウマイなんて1オングストロームすら感じないが、排ガスを垂れ流す車やバイクが走ってない分、昼間よりはいくらかマシなような気がする。ため息を付くように深く吐き出した息が、夜闇の奥へと白く溶けていった。  珍しく、シン――ッと静まり返った夜の街。  空はガスッたように薄ボンヤリと濁り、瞬く星はまばら。欠けた満月も朧に浮かんでいる。  その下をのんべんだらりと歩く俺の手首には、一番小さいコンビニ袋。  暇に明かせて、たったの5時間立ち読みしたら、店員だか店長だかの、すだれケツあご背あぶらチャッチャ、とんこつ面のほくろ毛オヤジが必要以上に向けてくる、絶対零度の熱視線と、掃除する振りをして近付いて来ては投げ付ける、聞こえよがしの高速舌打ちに、仕方なく、しっっかぁぁぁたなく帰り際に買った『うまい棒――からし明太子味』が中に一本。
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