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指の隙間から零れ落ちそうになる涙を必死に堪えて前を見やると、人工的な白い明かりに照らされた、錆止めの赤ペンキを塗った鉄柵が行く手を阻み、その向こう――道路を挟んだ反対側に赤い光が目に飛び込んだ。
「交番だっっ!!」
出入り口の上にぶら下がった赤い照明にローマ字で書かれた『KOBAN』の文字。
鼻に刺さるじんじんとした痛みを代償に、僅かばかりの冷静さを取り戻した俺は、胸の高さの鉄柵を乗り越え、転がるように道路を横切り交番の中へ。
「助けてくれっっ!!」
開口一番声を張り上げるが、四畳半位のさして広くもない空間には安っぽいスチールの机が一つにパイプ椅子が三つだけ。頭上の生っ白い蛍光灯が俺と一緒にそれらを照らし出す。
「だぁぁぁぁぁぁぁっっ!!なんで誰も居ねぇんだよっっ!」
握った拳で、だむっ!と叩く机の上で、ガチャンッと電話が跳び跳ねる。
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