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 池に林に芝生の広場。  昼間は年寄りや親子連れなんかの憩いの場として賑やかなこの場所も、夜中ともなればその様相は一変し、アウトロー気取りの馬鹿野郎共の格好の溜まり場になってる事が多々ある。  そういう下らない連中に何かと絡まれ易い俺としては、この時間帯は正直あまり近寄りたくない場所ではある。  しかし、今日に限ってはそんな面倒臭い馬鹿共の姿は視界に映らず、代わりかどうかは知らないが、奇妙な馬鹿が目の前に。  大小様々な石のタイルの敷き詰められたモザイク模様の遊歩道が、等間隔に並んだ煌々と光る街灯に照らされている。  その街灯と街灯の狭間――届く光の乏しい薄い闇溜まりの中、背中を向けてしゃがみ込んだ半裸の男が一人。  ガリッ。ゴリッ。と、固い何かを砕くような不気味な音が背中越しに聞こえてくる。  ん~~…………、  暖かくなり始めると土筆や蛙やドジョウと一緒に、頭の中も温かな奴も出て来るって言うし…………。  …………見なかった事にしよう。 .
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