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 右肩と鎖骨がぐちゃぐちゃに噛み千切られ、全ての手足を引っこ抜かれた身体。その裂けた腹から、赤白ピンクのテラテラとぬめりのある臓物がだらしなく飛び出している。さっきのガリゴリの音の正体は、この女の骨を噛み砕いていた音だったのかもしれない。  それにしても、そんな状態でまだ生きてるとは思えないが、眼球が誰か身代わりを探しているかのようにギョロギョロと痙攣し、口が呪いの呪文を唱えているのかパクパクと動く。  グロテスク以外の何者でもない女の姿から目を背けたいのに、それまで忙しなく動いていた女の飛び出しそうな血走った眼球が、ビタァァッッ!!と俺を睨み付けるように動きを止めたせいで、それから目を背ける事が出来なくなった。  胃の腑から込み上げてくる酸っぱ苦い半固形の液をぶち蒔けないでいるのは、単なる意地でしかない。  鬼が元は女だったそれに興味が失くなったのか、その場に打ち捨てて、そのまま俺に相対する。
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