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「お別れじゃねぇよ!」
体の大きな少年は大声で少女に言った。
「お別れじゃねぇ!絶対また会える!俺たちは家族なんだから!だから……レイチェルも俺のこと忘れんなよ!」
「――うん!」
少女は嬉しくて大きくうなずいた。
「絶対忘れない!絶対忘れないから!」
そう大きな声で返した。
「おう!」
少年も力強く返事をした。
少女は男と共に車に乗り込む。
その姿が見えなくなるまで、少女は三人を見つめていた。
絶対また会える――。その言葉を思い出し、少女はまた微笑んだ。
「へぇー。君の友だちにそんなことが」
栗色の髪の男は、興味深そうな声で言った。
ホテルの窓からは、クリスマスの美しい夜景が一望できる。
赤髪の女は、ワインを注ぎながら男に言葉を返す。
「素敵な話でしょう?しかも最近彼らと再会したらしいの」
「それは、すごい」
男はワインを受け取り、女に言う。
「それじゃ、今度は君の話が聞きたいな。君はどんな女性なんだい?」
女を惑わすような声と視線で彼女に問いかける。
「そうね、ワインでも飲みながらゆっくり話しましょ?」
そう言って、グラスを傾けた。
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