~狭間の子の辿る道~

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~狭間の子の辿る道~

人で在りながら、人に在らず。 妖で在りながら、妖に在らず。 狭間でさ迷う、半妖の子。 悪鬼羅刹を退治する力を持つ人間の母と、かつては悪鬼と恐れられてた妖の父。 本来ならば、相反する存在。 だが、家族は人と変わらず生活し、幸せに暮らしていた… ある赤い月の夜 子は喉の渇きに目を覚ました。 そして… 目にしたのは、父と母の無惨な死体… 子は母の力に護られ、見付からずにすんだ… 我が目を疑った 両親であるのかさえ分からない程に 何者かにズタズタに引き裂かれた体… 子は泣く事も忘れ ただ、立ち尽くす… 呆然とする子の目に、両親が大切にしていた刀が移り込む 厳重に封のされた紅い桜が描かれた刀は 赤い月と両親の血の海の中に 妖しく浮かび上がる… 無意識に刀を手に取る子は まるで、誘われる様に刀の封を剥がした―
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