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~曖昧なる夢~
?:起きろ、白夜(びゃくや)。
男の声に意識が浮上する。
?:いつまで寝るつもりだ。
もう、昼の12だぞ。
紅桜の描かれた黒い着物を着た、血の様に赤い髪と目の男は、呆れた様にため息を吐く
白夜:…五月蝿い、桜乱華。
俺は、まだ、ねむ…た―ぐー…(寝)
あぁ、なんでだろう…本当に眠たい…
でも、夢の様なものを見てたのだろう…
懐かしい様な…
思い出しては駄目な様な…
ただの夢だったか…
俺の記憶の欠片なのか…
今ので、すっかり忘れてしまった。
…恨むぞ、桜華(オウカ)。
桜乱華:退治の依頼が来たらどうする。
その乱れた、だらしの無い服装と、寝癖まみれの頭で人を迎えるつもりか?
は、鼻で笑いやがった…(怒)
でも、言い返せねぇえ…(汗)
白夜:っくそっ…!
水浴びてくるっ!!
桜乱華:くくっ、寝惚けて井戸に落ちるなよ。
白夜:落ちねぇよっ…!!
そこまで、間抜けじゃねぇぞっ!
…落ちた事、あるけど…(汗)
白夜:ちくしょ~~!!
ドタバタと庭へ走る白夜の後ろ姿を
桜乱華は淋しげな眼差しで見送る
桜乱華:白夜…
まだ、思い出すにはお前は若すぎる…
ポツリと呟く妖刀の顔は
人や妖に恐れられる妖刀の姿は無く
子を持つ親の様に、優しげな表情だった
桜乱華:…親の仇なぞ取らず、幸せになれ…
可哀想な半妖の子よ…
お前のお陰か、俺は確かな人の心を持てた…
願わくば、契約を思い出さぬ事を…
お前を我が子の様に思うぞ、白夜―
妖刀の呟きに応える者はおらず
空に解け落ちた―
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