~曖昧なる夢~

1/1
前へ
/9ページ
次へ

~曖昧なる夢~

?:起きろ、白夜(びゃくや)。 男の声に意識が浮上する。 ?:いつまで寝るつもりだ。 もう、昼の12だぞ。 紅桜の描かれた黒い着物を着た、血の様に赤い髪と目の男は、呆れた様にため息を吐く 白夜:…五月蝿い、桜乱華。 俺は、まだ、ねむ…た―ぐー…(寝) あぁ、なんでだろう…本当に眠たい… でも、夢の様なものを見てたのだろう… 懐かしい様な… 思い出しては駄目な様な… ただの夢だったか… 俺の記憶の欠片なのか… 今ので、すっかり忘れてしまった。 …恨むぞ、桜華(オウカ)。 桜乱華:退治の依頼が来たらどうする。 その乱れた、だらしの無い服装と、寝癖まみれの頭で人を迎えるつもりか? は、鼻で笑いやがった…(怒) でも、言い返せねぇえ…(汗) 白夜:っくそっ…! 水浴びてくるっ!! 桜乱華:くくっ、寝惚けて井戸に落ちるなよ。 白夜:落ちねぇよっ…!! そこまで、間抜けじゃねぇぞっ! …落ちた事、あるけど…(汗) 白夜:ちくしょ~~!! ドタバタと庭へ走る白夜の後ろ姿を 桜乱華は淋しげな眼差しで見送る 桜乱華:白夜… まだ、思い出すにはお前は若すぎる… ポツリと呟く妖刀の顔は 人や妖に恐れられる妖刀の姿は無く 子を持つ親の様に、優しげな表情だった 桜乱華:…親の仇なぞ取らず、幸せになれ… 可哀想な半妖の子よ… お前のお陰か、俺は確かな人の心を持てた… 願わくば、契約を思い出さぬ事を… お前を我が子の様に思うぞ、白夜― 妖刀の呟きに応える者はおらず 空に解け落ちた―
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加