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終戦一年後 後編 夕日とカボチャ畑
「大丈夫だって!
俺は身体だけは丈夫なの。姉さんだって知ってるだろ」
それっきり、姉にそっぽ向いて、畑仕事に集中する三郎君。
だって、食べ物がないんだもん。
仕方ないだろ?
…三郎君は、実は、兄弟で一番、ヤンチャ坊主だったのだ。
姉さんやおふくろの言うコトなんか聞いてられない。
…そんな三郎君だから…終戦の焼け野原の中、下を向く大人達をしり目に、瓦礫だらけの焼け野原を開拓出来たのだ。
何処からかカボチャのタネを手に入れ、まく。
カボチャ尽くしだが、収容所にいる一郎兄貴のコトを思えば、文句は言えない。
夕日を背に、焼け野はらの瓦礫をどける三郎君。
「ここをカボチャ畑に出来れば、もぅカボチャの蔓には不自由しなくなるな。」
えっ?カボチャって実じゃなくて、蔓食べるの?
「…カボチャだって実がなるまで時間がかかるんだ。…それまでは、蔓や葉でもないよりマシなんだ…」
…もうすぐ、また夏がやってくる。
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