‡01 空っぽ

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  屋台の前には、数人の人の列が出来ていた。 あたし達は、列の最後尾についた。 順番が来るのを待ちながら、彼と他愛ない会話をしている時‥ 「和樹、飲みに行く仕事仲間って、その人なん?」 ─ え? 突然、聞こえて来た声に驚いて、振り向くと、知らない女の子が険しい表情で立っていた。 「ちょ、愛花!」 和樹は、酷く動揺した顔をしていて 「洙果ちゃん、ごめん。すぐ戻るから。」 そう言うと、その女の子を引っ張って、神社の社殿へと向かった。 ─ なんだろ‥ 「お姉ちゃん、どれにする?」 声を掛けて来た屋台のオジサンに 「ごめんなさいっ。」 と謝って、人混みの中、あたしは二人の後を追い掛けた。  
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