月の目

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「絢子! ・・・ほんとにすみません」 母親はため息をつき、困ったような笑みを作った。 胸のあたりに憂鬱のおもりがぶら下がった。 あの三輪の部屋に行くだって? だが嫌がるわけにもいかない。 「あ、いや、僕は全然かまいません。渡してきますよ」 しかしなぜか母親がためらった。 「それは・・・。 いいえ、学校からの預かり物、私が後で絢子に渡しておきましょう」 「そうですか?じゃあ」 僕はほっと安堵した。 これで僕はこの重い荷から解放される。
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