30人が本棚に入れています
本棚に追加
一箇所だけ、写真のない部分があった。
そこには引きつった表情の僕がいた。
鏡だ。
大きな鏡がかけてあり、その部分だけは写真が無い。
自分の写真と鏡だけ。
彼女は自分に囲まれ暮らしている。
ふと天井を見上げて戦慄した。
天井もだ。
一体どうやって貼ったのか、彼女の写真がびっしりと覆っている。
満面の笑顔で頭上から僕を見下ろす写真と目が合った。
今にもその写真は口を開いてこう言いそうだった。
― 今ごろ気付いたの平井君?
ここからずっと見ていたのに
最初のコメントを投稿しよう!