プロローグ

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むかーしむかーしあるところによると、この世界のどこかには、あの世とこの世を結ぶ鍵があったそうな。 それはそれは見るからに美しく、神々しいばかりの物だったという。 見る者を魅了し、虜にし崇拝させる力を持ったその鍵は、今昔として行方を知らず。 それ故に時代と共に風化していったその伝説は今や知る人すらいない。 この排気ガス、廃棄物、人間の理屈のためだけに行われた森林伐採、動物殺害、原料搾取。 えげつない人間に支配されたこの国…いや地球はどんどん枯れていく。 海も大地も大空も皆、人間様の手によって。 私利私欲しか頭にないお堅い政治家によって。 それを否定せずに頭をぺこぺこさせながら従事する上司によって。 そして部下に命令を下す時だけ急にふんぞり返る上司によって。 そしてそんな組織に目を向けない民によって。 悪循環という名のサイクルは、拍車の如く世界を回す。 そしてこれはそんな世界に生きる四人のちょっと不思議な物語。
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