始まりの始まり

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「おい百合!お前俺のカニフライ食ったろ!」 昼休みの最中…戦争は始まった。 「ふはは!食べられる方が悪いのだよ!」 「んだと!返せ俺のカニフライ!」 少年は屋上を駆け回るが一人の女子に全く追いつかない。 「もう私の腹の中でドロドロになってるに決まってるだろうが! ふはははは!」 「悪女め…」 「何か言ったか廉…?」 「いえ何も!」 ボソッと呟いたのだが、聞かれたらしい。 何て地獄耳なのだろうかこの女は。 「くそ!お前早すぎだっつーの…」 「貴様が遅いんだ」 「んだと!?」 「落ち着くぜ廉? どうせお前じゃ追いつけねぇぜ! つか、カニフライって何だぜカニフライって…」 エビフライなら分かるが、と屋上を駆け回る二人を、フェンスに寄り掛かりながら男は言った。 「カニフライとはカニカマに衣を付けて焼いた俺の自信作だ!…ってそういう事じゃなくて今日こそは俺はこいつを捕まえるんだ! 女に負けるなんて羞恥!」 そして俺はあっかんべーをしている悪女…百合を追い掛ける。 「羞恥ってお前…この追いかけっこ何回目だと思ってんだぜ…」 「んなこと覚えてねぇ!」 即ち、覚えることが出来ないくらい負けてるということだ。
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