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「まち子っ!」
朝、教室へ入ると友達が私を取り囲んだ。
「あ、おはよぉ。」
「おはよぉ、じゃないやろ!…ほんまなん、水瀬の話。」
ビクッ。
私は体をかすかに震わせた。
「ごめん、町ちゃん。言う、つもりは……。」
ルノは、そこでこらえられない様に涙を流した。
「…っ、ひ…っく……。」
けれど、私には何となく分かってしまった。
この涙が私への罪悪感からではないことを。
多分ルノは本当に水瀬が好きなんだ……。だから、大好きな人が自分ではない誰かを好きと分かって泣いてしまう。
それが自分の知人ならなおさら。
その人が大好きだから、幸せになってほしい…。
でもそこに自分はいなくて、あの子なのだ。
それが辛くて涙を流す。
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